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物凄くいいなと思っても、信用残を見た後に躊躇してしまう俺ガイル
今日リンクバルの気配を見ていて、ふと信用買い残について書いてみたいなと思い、日課の昼寝(3時間)を切り上げ、パソコンの前に座ることにした。まず、昨日リンクバルが本決算発表した。内容はリンク先へ。
今期の売上予想は3.1%増、それに対して純利益は-48.3%減という業績予想となった。この決算を受けて、まずは昨日の PTS。

そして本日の気配。

今回は、決算の内容自体には触れない。企業というのは業績の良い時もあるし、悪い時もある。決算を跨ぐことそのものが悪なのではないし、持ち越したホルダーさんが愚かだったわけでもない。なので、株価を構成する需給という点で考えてみたいと思う。
信用買い残の多さとは人気の証である。
私が色々と個別株を吟味する中で、どんなにいいなと思った株でも投資対象として避ける銘柄がある。それは、
信用買い残が多い銘柄
である。これは単純に信用取引の買いが多いということではなく、時価総額に対して信用買い残が多いもの、という意味である。今回、例にするリンクバルのデータを検証してみる。
本決算が出た当日の株価518円で計算してみると、時価総額は11月6日時点で約101億円。それに対して、11月1日付の信用買い残は974,600株。 もう、計算とかどうとかって話じゃなくて、めちゃめちゃ多いね(震え声)
これだけ買いが増えた理由としては、リンクバルがどんどん高収益になっていって、今後もプラットフォーマーとして盤石の地位を築き上げる。そういったシナリオを投資家は想像していたのではないかと推測する。確かに近年の高収益化は目覚ましく、投資家に希望を持たせるには十分な内容だったことは間違いない。
人気者というのは、スキャンダル一発で地に落ちる
今回の事象を芸能人で例えてみる。まず清純派の女優がいたとする。普段から良いイメージで評価されているのでCMもバンバン、ドラマや映画のオファーも引っ切りなしだったある日、 暴力団との黒い交際が明らかになった。
元々の清純なイメージがあった故にその落差は凄まじく、一気に芸能界引退まで追い込まれた。これは株でも同じで、とても良い会社だと評価されてみんなの買いが入り、信用取引を使ってでもその会社に賭けたいと思ってる人がたくさんいる状態。
これこそが信用買い残の数字の意味するところだ。清純派女優がファンの期待を裏切らず、ずっと皆に希望を与え続けてさえくれれば、この信用買いも報われる。しかし、今回のように逆のベクトルに傾くと、本当に投売り状態となってしまう。赤信号をみんなで渡れば怖くないと言うが、荷物満載の10トントラックが突っ込んできたら全員助からない。そんなイメージである。
信用買い残が多い事のメリットは、ほぼない
私が信用買い残が多い株を避けるのは、
1 希望で膨らんだ株は、逆に傾いた時が怖い
2 上値が重くなりやすい傾向がある
信用買いが増えて良い局面というのは、上昇相場でどんどん右肩上がりに上がってる時。この時は全員が株高を享受し、まさに至福の時となるので、買いの増加が許される瞬間である。しかし、これも長くは続かない。必ずどこかで株価が下落に向かう。
その際、 高値で捕まった人は身動きが取れなくなる。そうすると何が起こるかと言うと、信用ナンピンする人が増えてさらに重くなったり、株価が回復した際に少しでも損失を減らしたいと考える人たちの売りが上値を抑え、大した株価の上昇に繋がらないことが多いから。
ただし、信用買いが多くても、それを押しのけるような好決算が出た場合は、当然グイグイ上がる場合もある。しかし、みんなからの人気が高い株は、求められるコンセンサスの水準も高く、あまり美味しい投資にならないと私は思っている。
株価の成り立ちを考える
私はこういう人気株を見ているといつも思うのだが、
人気株で倍になっても、
地味株で倍になっても、
運用成績は同じである。
この事実を基に考えれば、信用買い残が多い銘柄をあえて避けるという考えは、一定の合理性があると思う。人気株には人気になるそれなりの理由があるわけだが、その株価の成り立ちが人気のみである場合、非常に怖い結果が待ち受けているので、気をつけて欲しい。
私自身は、会社として魅力的だと思っていても需給面が極端に悪い場合は、泣く泣く投資対象から外す事にしている。ただ、物事に絶対は無いので、思い出した頃に株価の監視はしているが。皆さんも「良い決算が出たのに、何か上値が重いな~」と思ったら、信用取引のデータを確認してみてはいかが?