連休突入の直前である9月20日。三菱商事が巨額損失の発生を発表した。内容を要約すると、シンガポールの子会社の社員が、デリバティブ取引で社内規定に違反した取引を行い、約345億円の損失が発表したとの事。事件の詳細については、三菱商事のホームページを確認してほしい。
約345億円の損失!三菱商事の業績への影響は?
この巨額の損失。並の企業では一発で吹っ飛んでしまうような金額ではあるが、では天下の三菱商事に当てはめた場合、どういう形になるかを考えた。
令和2年3月期の業績予想
純利益 6000億円
今回の損失は、約345億円(暫定値)
純利益に与える影響は5.75%
純資産に占める損失の割合は0.6%
はい、鼻ホジレベルですね。そのセンセーショナルな損失金額とは裏腹に、業績面・資産面で考えても、
カッターで指を切った程度
と言っても過言ではない。指を切った時点では痛いが、絆創膏をすればすぐに治る。大騒ぎになるほどの怪我ではないという風に、私は言い切れる。こういう不祥事の損失って、額面で見ると非常にびっくりするわけだけれども、企業の体力とか事業規模とか、そういう点で見ると、どれぐらいの影響かがはっきりわかる。
ただし、投資家として注意しておくこと
今回の不祥事の件。約345億円の損失ということで、ほとんど数字的には出尽くしているとは思うが、唯一注意しておきたいのは追加の損失計上である。三菱商事のIRでも書かれているが、現時点でその損失の最終的な金額というのは確定していない。
~三菱商事のIRより~
既に対象となるデリバティブ取引については手仕舞い、損失を確定しておりますが、
その他関連取引費用等を含めた損失の最終確定額を精査しております。
まあ、個人的な感想で言えば、ここから大きく損失が膨らむ可能性は非常に低いと思うし、また仮に膨らんだとしても、三菱商事の体力を考えれば、ほとんど影響はないだろう。しかし、新興の会社ではよくあるが、追加の損失が出るケースもあるため、その辺は事前に注意をしておきたい。
今回の巨額損失を踏まえて、今後の株価への影響は?
結局、投資家としては、今回の損失が株価へどの程度影響するのかというのが、一番心配かつ、興味があるポイントだと思う。しかし、20日のPTSの値動きを見る限り、やはり影響は軽微だと言える。
始値 2561円
高値 2705円
安値 2561円
出来高 45,600
寄り付きこそ2,561円だったが、引け前に2,680円まで回復している。
「不祥事オワタ\(^o^)/」
とブン投げた人の売りを、
「いやいや、大した事なくね\(^o^)/」
と誰かが拾った感じ。不祥事系でこういった値動きをする場合は、基本的に強い証である。
YJJは買い・売りどっち?
今回の不祥事は間違いなく買いで良いと思う。理由を以下に。
1 三菱商事の事業規模を考えると、損失は鼻ホジレベル
2 損失額が確定してないが、仮に損失が倍になっても影響は小さい
3 この損失額の規模であれば、減配の可能性は低い
4 現時点の配当利回りは4.52%。業績の推移を考えると配当妙味が増す
今回のYJJライン
もし私が、新規で三菱商事を購入するとしたら・・・完全ノーポジかつ、トレーダーだった私が考える、株価の買いポイント=YJJラインはこちら。
第一ライン 2,670円 予想利回り 4.68%
第二ライン 2,550円 予想利回り 4.9%
ファイナルナンピン 2,200円 予想利回り 5.6%
テクニカルと予想配当利回りを考えた場合に、こんな感じで着地する。直近のチャートや業績の推移を考えると、JTの高配当とは全く意味が違ってくるので、長期投資で考えるならば、今回は基本的に買いで問題ないと思う。三菱商事のように会社として素晴らしく、不安が無い会社というのは、今回のような不祥事の時に買い向かうのが非常に有効である。数ヶ月・数年後に振り返った時に
あ~あれね。押し目押し目。
と言われることになるのではないか。ここ最近の大型株の上げに乗り遅れていた人にとっては、ジュルルな展開だろう。

しかし、いつも言うが投資をする際はあくまで自己責任。自分で精査して判断してほしい。