四季報6000番台まで来たが、第二のホクリョウの如く私の前に立ちふさがり、ページを開く指が重い。どれぐらい重いかというと、昔単発の引越しのバイトをやった初日に
お客の照明器具を豪快に割った時
ぐらいに気が重い。それ以来、引越しのバイトは日給5万円でもやらないと誓っている。人間には向き不向きあるね。しみじみ。
さて、本題。
先日書いた、負けを認めて勝つ方法。
日常生活で例えると、
フラれた女に執着するな
って事なんだけど、なかなかこれが出来ない。分かっていても出来ない。この「分かっていても、人間の心理が躊躇させる」という現象こそ株にとっては大敵なのである。私はいつも方々で
信用ナンピンダメ絶対!
と、文字を大にして書いている。これは当然、自分の経験に基づいたものだが、エピソードがありすぎて本が一冊出来てしまうレベルなので割礼する。前回を例にして信用ナンピンについて説明しよう。700円で反発すると思って買ったとする。

しかし、本人の意図に反して株価は下がってしまった。この時、トレーダーにはいくつかの考えが頭を巡る。
1 自分が安いと思っていた700円を割った。株価が下がれば下がるほど反発の期待が高くなるわけだから、追加で買い増し。
2 反発すれば莫大な利益が出るから、損切りはありえない。
3 1と2を足せば、信用枠一杯まで買う事が合理的である。
これ、冷静な時に読むと分かるのだが、
全部自分の都合じゃん
まさにこれが答えなのである。逆に株価が下がり続けた場合に、自分の身に起こる事を考えていない。
価値の落ちた合コンの参加費を、定価との比較で買い続ける愚行
これが、無謀な信用ナンピンのメカニズムである。また、株価急落時は数分程度しか考える余地がないので判断は時間との戦いになる。損切りか買い増しかの判断を、数分~数秒で迫られる。
しかし、人間は追い込まれると冷静さを欠いてしまうのだ。既に700円を割ってシナリオが狂っている上に、後に引けない量の株をナンピンしている。そういう状況に追い込まれた時、人間は自分のやった事を否定しにくいのだ。
こういう風に分かっていても撤退しづらくなるので、私は信用ナンピンをやるべきではないと訴え続けている。
また、このパターンにはまって一撃で退場しやすいのは、やはり仕組的に短期売買だし、信用で回転が効きやすいデイトレードなのである。私は退場こそ免れているが、過去に優秀なトレーダーさんでこの一撃を食らって消えてしまった人を見てきた。
何年間プラス収支でも、一回の大ミスで退場する世界なのである。また、今回は短期売買で例えているが、長期投資の場合でも2018年12月に起こった血のクリスマスみたいな急落の際は、同じ事が起きたと思う。
一日早く信用ナンピンしてしまった人は、本番の下げで退場してしまったケースもあっただろう。なので、全般的に信用ナンピンをしないといけないケースになった場合は、
分が悪い戦いをしている
と認識しておくのが良い。私自身は、信用取引自体は道具だと思っているので、良いとか悪いとかの二元論で語る気は毛頭ない。ただ、間違って使ってしまうと、あっという間の為五郎で経済的な地獄に落ちる。株初心者には口を酸っぱくして、梅干20個を食べながら涙目で「おうっおうっ」と伝えたいのである。そこんとこよろしく。